「意識しすぎは逆効果?リハビリとトレーニングに必要な”感覚のバランス”」
意識すること・しないことのバランス
今回は「意識すること」によって生まれるメリットとデメリットについてお伝えしたいと思います。
トレーニングやエクササイズを行う時、どこを意識するかによって得られる効果は大きく変わります。
また、「どこから動くか」「何を起点にするか」によって、動作そのものの質や、身体のどこに疲労がたまるかも変わってきます。
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意識することで得られる効果

たとえば、ボディビルダーのように鍛えたい部位を強く意識してトレーニングを行うと、その部位の筋活動量が増えることがわかっています。
筋肉をしっかりつけたい場合は、鏡を使って動きを確認しながら、究極に意識を集中させて行うことが非常に効果的です。
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意識のしすぎが招くデメリット
一方で、内側に意識を向けすぎることは、かえって疲労を招く場合があります。
イチロー選手が自主トレーニング中に話していたことがあります。
「以前は投げる動作の一つ一つに意識を向けすぎて、すぐに疲れてしまった。
でも、意識せずに自然に投げるようにしてからは、投げられる球数も増え、疲労も感じにくくなった」と。
これは、意識のしすぎによって筋活動が過剰になり、余計に体力を消耗していたと考えられます。
意識を少し外に分散させたことで、筋の過緊張が和らぎ、効率よく動けるようになったのでしょう。
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リハビリにも当てはまる話
この話は、リハビリにも通じるものがあります。

たとえば、モモ裏(ハムストリングス)の肉離れを繰り返してしまうケース。
筋力トレーニングである程度筋力は戻っているはずなのに、また再発してしまう。
これは、モモ裏に意識を向けすぎていることが一因かもしれません。
意識が強く入りすぎると、その部位の筋活動が増え、必要以上に使いすぎてしまう。
本来なら他の筋群と連携してバランスよく動くべきところが、意識の偏りによってオーバーヒートしてしまうわけです。
特に、真面目で一生懸命な方ほどこの傾向があるように思います。
「しっかりリハビリしたはずなのに、また痛めた」という人ほど、意識のしすぎによって無意識の疲労がたまっていることがあるのです。
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結論:大事なのは「バランス」

意識することには効果がありますが、しすぎも逆効果になります。
もちろん負担が少ないポジションにもっていくのも絶対的に必要ですが、
トレーニングもリハビリも、「意識する・しない」のバランスがとても重要です。
リハビリは単なる筋力強化や柔軟性アップだけではなく、
「どれくらい意識するか」
「どこに意識を向けるか」
といった、内面の感覚との向き合い方も深く考える必要があるのではないかと思います。