スタートが速くなる「前足スタート」のコツ|力まない脱力スタート法と転がりエクササイズ

🏃‍♂️ 前足スタートが速くなる!

脱力と“転がり”を使った正しいスタートのコツ

前回、スタートで後ろ足を蹴ると出遅れるという話をしました。
今回はその続きとして、「前足スタートを成功させるための具体的なコツ」をご紹介します!

■ スタートが遅くなる原因は“力み”

スポーツにおいて「初速」はとても重要です。
でも、いざスタートを切る瞬間、気持ちが入りすぎて力んでしまい、思ったように加速できない…。
そんな経験、ありませんか?

力が入ったままスタートすると、本来のスピードは出せません。

例えば、スタート前からすでに40%力が入っていたら?
そこから100%の力を出そうとしても、実際に出せるのは60%分だけになってしまいます。

■ スタートを速くするには「脱力」がカギ

本当に速いスタートを切るには、スタート直前にいかに力を抜いておけるか(脱力)が大切です。
ただし、全身脱力してしまうと構えが崩れてしまいます。

ポイントは、お尻の筋肉だけに適度な“予備緊張”を入れ、他はリラックスすること。
お尻で構えを保ちつつ、他は限りなく0%に近い力感で待機するのが理想です。

■ 踵(かかと)の位置と足関節の使い方

これまで私は「踵を上げたスタート姿勢(足関節底屈位)」を指導してきましたが、どうも力が伝わりにくく、しっくりきませんでした。

なぜか?
底屈位はすでに“力を出し終えた状態”だからです。

それよりも、背屈位(足首がすこし曲がった状態)から、底屈へと“転がるように”力を伝えることで、よりスムーズな加速が可能になります。

でも、背屈位でずっと構えていると、スタート前に疲れてしまいます。
そこで必要になるのが、次に紹介する「転がり運動」です。

🔄 転がりスタートの感覚を身につけよう!
1. スタート姿勢で足裏全体を床に接地
2. そこから自然に踵が浮いていき、足裏の前側へ“転がる”ように体重を移動
3. 同時に膝の力も抜いて曲げる(“膝を抜く”)
4. 膝が地面に近づいたら、その位置から後ろに向かってしっかり蹴る

ここで大事なのは、蹴る位置のイメージを「下」ではなく「後ろ」に持つこと。

多くの子どもは、真下を蹴ってしまい、力が上方向に抜けてしまいます。
それが「浮いたようなスタート」になり、初速が出ません。

目指すのは、クラウチングスタートに近い姿勢へ、スタンディングから素早く移行すること。
実際に、クラウチングスタートの方が物理的に速いのは、力の方向が正確だからです。

💪 実践エクササイズ:壁スタートドリル

誰でもできる転がりスタートの感覚トレーニングをご紹介します。

【壁スタートのやり方】
1. 壁の前に立ち、前足でスタート姿勢をとる
2. 足裏全体で立った状態から、前足の“転がり”を使って、前傾姿勢のまま膝が前方に落ちるように
3. 前に倒れるようにしながら、手で壁を“強く押す”

🔸ポイント:
• 手で“押す”というよりも、倒れないように“支える”イメージ
• 慣れてきたら、壁との距離を少しずつ離していく
• 前足から後ろに蹴る動きへつなげていくと、より実戦的になります

この動きがスムーズにできると、スタート直後の一歩の差が明確に変わってきます!

🗣️ まとめ

スタートを速くするためには、
✅ 力まないこと(脱力)
✅ 踵を“転がす”ように体重移動
✅ 膝を抜いて後ろに蹴る意識
この3つがポイントです。

前足スタートは、見た目以上に繊細で奥が深いテクニック。
「正しく脱力する」「地面を転がるように蹴る」この感覚を身につければ、ジュニアアスリートの走りは確実に変わります。

ぜひ一度、試してみてください!

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